「春休み前になると、子どもが突然“学校に行きたくない”と言い出した」──そんな経験はありませんか?
年度末の慌ただしさに加え、進級やクラス替えといった環境の変化が控えているこの時期、子どもは知らず知らずのうちにプレッシャーを感じているものです。
しかし、親が焦って対応すると、かえって状況が悪化してしまうことも少なくありません。
本記事では、春休み前に「学校行きたくない」と言われたときに親がやりがちなNG対応、そして子どもの本音に寄り添う具体的なアプローチを、体験談や専門的視点も交えて詳しく解説します。
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春休み前、「学校行きたくない」と言い出した子どもにどう対応する?
突然の拒否反応に戸惑う親心
春休みを目前に控えたある日、子どもが「学校に行きたくない」と言い出す。そんな場面に直面し、どうしたらいいのか分からず戸惑う親は少なくありません。特に小学校低学年の子どもは、自分の気持ちをうまく言葉にできず、急な変化のように見えることも多いです。
しかし、その背景には、少しずつ蓄積されてきた不安や緊張、学校での人間関係のストレスがあることも。春休みが近づくにつれ「あと少しで休める」「でもその前に苦手なイベントがある」といったジレンマが、最終的に「もう行きたくない」という言葉として現れることがあります。
親としては、まずその言葉の裏にある気持ちに寄り添う姿勢が大切です。ただし、「甘やかす」「すぐに休ませる」といった対応が必ずしも正解とは限りません。焦らず、冷静に、子どもの気持ちに向き合う姿勢が問われます。
やってはいけない対応:親の正論が逆効果になる理由
「頑張って行けばいいことあるよ」「みんなも行ってるんだから」──こうした“正論”を口にしてしまいがちですが、実はこれは逆効果になりやすい対応です。
というのも、子ども自身も「行かなくちゃいけないこと」は分かっているからです。その上で「行きたくない」と訴えているのは、それだけで限界ギリギリのサイン。そこに正論をぶつけると、さらに自分を責めてしまい、「話を聞いてもらえなかった」という孤立感だけが残ることもあります。
また、「○○ちゃんだって頑張ってるのに」などの比較は、自尊心を大きく傷つけます。今必要なのは、“正しさ”ではなく“安心”です。まずは「そう思ったんだね」「そっか、辛いんだね」と、一度しっかり受け止めるところから始めましょう。
声かけのコツ:「学校=嫌な場所」という思い込みを和らげる
子どもが学校に行きたくないと言うとき、多くは「行く=またイヤな思いをする」という強い思い込みが働いています。このネガティブな連想をやわらげるには、学校に対するイメージを少しずつ中和していく声かけが有効です。
たとえば、「あの図書室の本、また借りられるね」「○○先生が今度楽しい授業するって言ってたよ」といった、子どもが少しでも興味を持てるようなトピックに触れてみてください。
もちろん、無理に前向きにさせようとしすぎるのは逆効果ですが、「全部がイヤじゃないかも」という感覚を少しずつ育てていくことが、次の一歩につながることがあります。これは“元気に登校させる”ことを目指すのではなく、“安心できる材料を増やす”という視点で取り組むのがポイントです。
なぜ春休み前に「学校行きたくない」が増えるのか
「あと少し」が子どもにとって重荷になる理由
春休み前の数週間は、大人にとっては「あと少し頑張れば休み」と前向きに感じられる時期ですが、子どもにとってはむしろプレッシャーが増すタイミングでもあります。特に1〜2年生の低学年の子どもは、時間の流れを大人のように捉えられず、「あと○日行かないといけない」というカウントダウンが不安やストレスにつながることもあります。
たとえば、年度末にはお別れ会やテスト、通知表など、イベントが多く実施されます。こうした“特別な日”が多くなることで、「普段と違う空気感」に敏感な子どもほど緊張や不安を感じやすくなるのです。
さらに、「頑張ってきた1年の終わり」という雰囲気の中で、子どもなりに疲れが蓄積されているケースもあります。そのため、春休み前は“感情が噴き出しやすい時期”だと捉えておくことが大切です。
クラス替えや進級の不安がじわじわ影響する
春は別れと出会いの季節です。特に小学校では「クラス替え」や「担任変更」などの大きな変化が控えており、これが子どもたちの心に見えない不安を与えています。
「仲のいい友達と離れたらどうしよう」「新しい先生は怖くないかな」──そんな想像が膨らむのが春休み前の時期です。子どもによっては、まだ何も起きていないにも関わらず、すでに“未来の不安”を抱えていることもあります。
特に内向的な性格の子、環境の変化が苦手なタイプの子は、その不安が身体症状(頭痛や腹痛)や情緒不安定という形で現れることも。こうしたサインを見逃さずに「そう思ってたんだね」と声をかけることが、信頼関係を築く第一歩になります。
家庭内の変化も影響しやすいデリケートな時期
実は、春休み前は学校だけでなく「家庭側の変化」も影響しやすい時期です。たとえば、親の仕事復帰や転勤、引っ越しの予定が出るタイミングであったり、弟・妹の進級準備などが重なることで、家庭の空気が落ち着かなくなります。
大人は「慌ただしい時期」として受け止めていても、子どもにとっては「おうちの雰囲気が変わっている」と感じ、不安になることもあるのです。特に、親が子どもとの時間を取りづらくなっているときは、子どもが“心の不安”を「学校に行きたくない」という言葉で表現することがあります。
そのため、春休み前の時期は「学校の問題だけでなく、家庭の状態にも目を向ける」ことがとても大切です。親子でのちょっとした会話やスキンシップの時間が、子どもにとっての大きな安心材料になるでしょう。
親がやって失敗した対応・成功した対応のリアルな体験談
失敗例①:無理に登校させた結果、かえって悪化
あるお母さんは、子どもが「学校行きたくない」と言い出したとき、最初はただの甘えだと受け取りました。朝の支度を無理やり進めさせ、車で学校まで送り届ける日々。ところが、しばらくすると子どもは腹痛や頭痛を頻繁に訴えるようになり、ついには学校の玄関前で泣き出すようになってしまいました。
このケースのように、親が「学校は行って当たり前」「泣いても行かせないといけない」と思い込み、子どもの気持ちを無視してしまうと、心身に深刻な影響が出る可能性があります。特に春休み前のように疲れがたまっている時期は、ほんの少しの無理が「学校=怖い場所」という認識を強化してしまうことも。
子どもが抵抗を見せたときは、まず“何がそんなにイヤなのか”を探る時間を取り、本人の中の気持ちを整理する手助けが必要です。強行突破ではなく、寄り添う姿勢が求められます。
失敗例②:「気にしすぎ」と軽くあしらったことで信頼が揺らいだ
別のお父さんは、子どもが学校に行きたくない理由を「些細なこと」と受け止め、「そんなの気にしすぎだよ」「明日になれば忘れるよ」と軽くあしらってしまいました。そのときは子どもも無理に頷いていましたが、次第に親に本音を話さなくなり、感情を閉ざしてしまったといいます。
子どもが「学校がイヤ」と言うとき、その理由は一見すると小さく見えるかもしれません。たとえば、「席替えで仲の良い子と離れた」「先生の言い方が怖かった」といった内容です。しかし、子どもにとっては大きな出来事であり、軽視されると「わかってもらえない」という孤独感を深めます。
親としては、どんな話でも一度しっかり耳を傾けること。「それが嫌だったんだね」と受け止めるだけでも、子どもの気持ちは大きく変わります。
成功例:一緒に“話を描き出す”ことで不安が整理された
成功したケースとして多くの親が挙げるのが、「一緒に不安を言葉にする時間を取った」という対応です。あるお母さんは、子どもが「学校行きたくない」と言ったとき、「どこが一番イヤなのか」「いつからそう思ってたのか」を紙に書き出して、一緒に“気持ちの地図”を作ってみました。
その過程で、実は「春休み前のテストが怖い」「先生に当てられるのがイヤ」といった、本人でもうまく整理できていなかった気持ちが明らかになったそうです。そして「じゃあ、ここはどうすれば少しラクになりそう?」と一緒に対策を考えることで、子ども自身が前向きな気持ちを少しずつ取り戻しました。
子どもの心の中は、親が想像する以上に複雑で繊細です。その気持ちを丁寧にほぐし、一緒に整理することで、「一人じゃない」という安心感を育てることができます。それが、次の一歩を踏み出すための土台になるのです。
春休み中の過ごし方で「行きたくない」が変わる理由
完全オフにする?それとも学校の話題を続ける?
春休みに入ると、子どもを「学校モード」からいったん解放してあげたくなる親御さんは多いはずです。しかし、「行きたくない」と訴えていた子どもの場合、完全に学校から距離を取らせるのが良いか、それとも少し学校の話を続けるべきか、悩む方も少なくありません。
結論から言えば、「完全オフ」ではなく、「安心できる形で少しずつ学校の話題に触れる」ことが効果的です。たとえば、「春休み明けにある歓迎会、楽しみにしてる子も多いみたいだよ」など、プレッシャーにならない程度の情報を自然に伝えていくと、子どもの中で「学校=全部イヤな場所」というイメージが少しずつ薄れていきます。
また、学校での出来事や不安を紙に描いたり、ロールプレイで先生役をやってみるなど、遊びを通じて“気持ちの整理”をサポートすることも、春休み中だからこそできるアプローチです。
「好きなこと」への没頭が自己肯定感を回復させる
春休み中は、学校生活のプレッシャーから解放されているぶん、「好きなことに集中できる貴重な時期」でもあります。このタイミングで、子どもが好きな遊びや趣味、工作や料理などに没頭する時間を持たせると、心の充電が進みやすくなります。
「自分にはできることがある」「楽しいこともある」と実感できる体験は、自己肯定感を回復させる上でとても重要です。学校で自信をなくしていた子どもほど、家の中で「成功体験」や「安心感」を積み重ねることで、次の学期に向かう力が育まれていきます。
親が「よく集中してるね」「楽しそうだね」と声をかけてあげることで、さらに子どもは自分の価値を肯定できるようになります。これは、学校に戻る前の“心の栄養”として非常に効果的です。
“新学期の準備”は親が先に動き始めてOK
春休み後半になると、「また行きたくないと言い出すのでは」という不安が親の中にも出てくるかもしれません。そんなときは、子どもに無理をさせずに、親の側から少しずつ新学期への準備を始めてみましょう。
たとえば、学用品を一緒に選びに行ったり、新しい文房具を使ってみるなど、「新学期って少し楽しそう」と思える体験を重ねていくと、子どもも自然と意識が未来に向きます。
このとき、「早く行けるようになってほしい」という気持ちを前面に出しすぎず、「一緒に準備しておこうか」くらいのトーンで進めるのがポイントです。子ども自身が“行きたくない気持ち”を整理するには時間がかかるため、焦らず関わることが大切です。
新学期、「また行きたくない」を繰り返さないためにできること
最初の1週間がカギ:ハードルを下げる声かけを
新学期が始まる直前や登校初日に再び「行きたくない」と言い出す子どもも少なくありません。そんなとき、親として焦ってしまう気持ちは当然です。しかし、ここで大切なのは「最初の1週間は“慣れる期間”と割り切る」こと。
たとえば、「今日は半日頑張ったら帰ってこれるよ」「帰ってきたら一緒に好きなテレビ観ようね」など、小さな目標を提示することで、子どもが「一歩だけなら頑張れるかも」と思えるようになります。
また、初日に全部できることを期待するのではなく、「教室に入れただけでもすごい」「行く準備ができただけでも頑張ったね」と、段階的に成長を認める声かけがとても効果的です。ハードルを低く設定してあげることが、長期的な安定につながります。
登校後の“安心ゾーン”を作る工夫
子どもが再び学校に通い始めても、「またイヤになってしまうかも」という不安は残ります。そこでおすすめなのが、学校生活の中に“安心ゾーン”を作る意識です。たとえば、放課後に好きな友達と遊ぶ約束をしたり、好きな本を持たせて昼休みに読ませてもらうなど、小さな「楽しみ」を持たせることで不安を和らげることができます。
また、学校の先生に事前に相談し、「朝は教室に入れなかったら保健室から始めてもいいですか」などの配慮をお願いしておくこともひとつの方法です。こうした“逃げ道”の存在が、子どもにとって大きな安心感になることもあります。
大人にとっては小さな工夫でも、子どもにとっては「自分のことをわかってくれている」という信頼の証になります。安心できる環境づくりは、親と学校との連携によっても支えることができるのです。
「また言うかも」という前提で、構えておく強さを
どれだけ準備をしても、どれだけ子どもが前向きに見えていても、「また学校行きたくない」と言い出す日は訪れるかもしれません。そんなときに親が必要以上に動揺してしまうと、子どもは「また迷惑をかけた」「がっかりさせた」と自分を責めてしまうことがあります。
大切なのは、「またそうなるかもしれないけど、大丈夫」と親が構えていること。気持ちの波があるのは自然なことであり、それを繰り返しながら子どもは少しずつ自分の心と折り合いをつけていきます。
子どもが「今日は無理かも」と言ったときに、「じゃあ今日はおうちでゆっくりしようか」と受け止める一方で、翌日はまた新しい一歩が踏み出せるよう、希望を持たせてあげる──その柔軟さが、最終的には“学校との関係を切らさない”という結果につながるのです。
まとめ:春休み前の「学校行きたくない」は、子どもからの大切なサイン
春休み前に子どもが「学校行きたくない」と口にしたとき、それは怠けやわがままではなく、心の中にある不安や疲れ、プレッシャーの表れです。特に小学校低学年の子どもにとっては、言葉ではなく行動や態度でしか気持ちを伝えられないことも多く、親の受け止め方ひとつで、子どものその後の行動が大きく変わってきます。
無理に登校させたり、気持ちを軽視したりする対応は、長期的に見て逆効果になることもあります。大切なのは、まず「気づくこと」、そして「受け止めること」。そのうえで、春休み中には心のエネルギーを回復させる時間を持ち、新学期に向けた準備を焦らず進めていくことが、親子の関係にとっても良いステップになります。
子どものペースはそれぞれ違います。「1日登校できたから大丈夫」と思い込まず、波のある気持ちに寄り添いながら、その都度必要なサポートを選んでいく姿勢が、結果的に子どもが自分で乗り越える力を育むことにつながるのです。
この記事を通して、今まさに「どう対応すればいいか悩んでいる」という保護者の方が、少しでも心を整理し、前向きな一歩を踏み出すヒントを得られたのなら幸いです。