「共用廊下に小さな鉢植えを置いてみたい」「玄関前にグリーンがあると癒やされる」――そんな思いを抱くマンション住まいの方は少なくありません。
しかし、その行動が思わぬトラブルや規約違反につながることもあります。
本記事では「マンションの共用廊下に植木を置いてもいいのか?」という疑問に対し、結論から明示したうえで、分譲・賃貸の違い、管理規約の文言、注意すべき法律や過去の事例などを丁寧に解説していきます。
さらに、どうしても植物を楽しみたい方のための代替アイデアも紹介します。
マンションで気持ちよく暮らすための「境界線」を知っておきましょう。
コンテンツ
マンション共用廊下に植木を置くのは原則NG?その理由とは
共用部分には「個人の所有物」は基本的に置けない
マンションの共用廊下は、すべての住人が安全かつ平等に使えるように設計された「共用部分」に該当します。
この共用部分には、原則として「私物(個人の持ち物)を置いてはならない」とするのが一般的なマンション管理規約の考え方です。
植木鉢や鉢植えも私物にあたるため、見た目がきれいであっても、通路を占有することは規則違反と見なされるケースが多くなっています。
これは景観や印象の問題だけでなく、住人間の公平性、安全性にも直結するからです。
一見OKに見えても「暗黙の了解」は危険
中には「他の部屋も置いているから大丈夫だろう」と思ってしまう方もいるかもしれません。
確かに、一部のマンションでは廊下にプランターや小さな植木が置かれていることがあります。
しかし、それが管理組合の正式な承認を受けているケースはごくわずかです。
ほとんどは「黙認状態」であり、管理者が見過ごしているだけのこと。
ある日突然「全撤去してください」と通達が出る可能性があることを忘れてはなりません。
結論:「原則NG/例外は個別確認」が基本方針
マンションの共用廊下に植木を置くことは、原則としてNGです。
なぜなら、共用部分は個人が占有・装飾するための場所ではなく、消防法や避難経路の観点からも支障をきたすリスクがあるからです。
ただし、管理規約や管理組合が明確に「小型の鉢植えのみ可」と認めている場合に限り、例外的にOKとなるケースも存在します。
したがって、まずはお住まいのマンションの管理規約と管理会社への確認が欠かせません。
分譲マンションと賃貸マンションで異なるルール
分譲マンションは「管理規約」がすべての基準になる
分譲マンションでは、住民一人ひとりが区分所有者としての立場を持ちます。
そのため、物件全体の運営は管理組合によって行われ、共用部のルールも「管理規約」や「使用細則」に明文化されています。
植木の設置についても、以下のように細かく規定されていることが多いです。
たとえば:
・共用廊下には一切の私物を置いてはならない
・非常時の避難経路となる箇所は常に空けておく
・景観や他の居住者に迷惑となる物品は禁止
こうした規約は法律と同等の拘束力を持つため、「個人の好み」や「他の住人がやっている」という理由で違反することはできません。
賃貸マンションでは「大家(管理会社)」の判断が優先される
一方、賃貸マンションでは、住人はあくまで「借主」の立場であり、共用部の利用権限は建物の所有者にあります。
この場合、植木を置いていいかどうかの判断は、基本的に「大家」または「管理会社」の判断に委ねられます。
契約書や入居時の案内に「共用部分に物品を置かないように」といった文言があれば、それがルールになります。
また、退去時に「植木の鉢が腐食して床面にダメージが残った」として原状回復費用を請求される例もあり、注意が必要です。
共通するのは「管理者の意向に従うこと」
分譲・賃貸どちらのマンションにおいても、共用部分の扱いは個人の判断ではなく、管理規約または管理者のルールに基づいて行動すべきです。
勝手に植木を設置した場合、撤去指示だけでなく、トラブルの原因になった場合は損害賠償を求められる可能性もあります。
つまり、どちらの立場でも「勝手に置かない」「まずは確認を取る」が鉄則といえるでしょう。
管理規約に明記される「共用部分の禁止事項」
管理規約で「共用廊下に物を置いてはいけない」と明記されている理由
多くのマンションでは、管理規約または使用細則の中で「共用廊下への私物の設置は禁止」と明確に規定されています。
この条項は単なるマナーの問題ではなく、法的根拠や安全上の観点から設けられているものです。
たとえば、次のような条文が見られます。
「共用部分(廊下・階段・エントランス等)に、私物・装飾物・植栽その他の物品を置いてはならない」
こうした条項に違反した場合、管理組合や管理会社から撤去の通達が届き、対応しなければ違約金や訴訟に発展する可能性もゼロではありません。
なぜ「植木」も禁止なのか?管理者が問題視する具体的リスク
「小さな観葉植物くらいなら大丈夫では?」と思う方も多いでしょう。
しかし、マンションの管理者が植木を問題視するのには明確な理由があります。
・転倒して通行人をケガさせるリスク
・落ち葉や水やりによる汚損・悪臭
・虫が発生しやすくなる
・視界が遮られ防犯上の懸念が出る
・非常時の避難を妨げる
このように、見た目に反してトラブルの原因になりやすいため、ルールで厳しく制限されているのです。
黙認されていても「撤去指示が来たら従うしかない」
現実には、一部の住戸で小さな鉢植えが置かれていることもあります。
「うちのマンションはみんな置いてるから問題ない」と考えてしまいがちですが、それは単に「今まで注意されていなかった」だけかもしれません。
管理体制の見直しや理事長の交代などにより、急に厳格化されるケースも珍しくありません。
その場合、過去に設置が黙認されていたとしても、撤去命令には従う必要があります。
「前はよかったのに…」という感情論は通用しないため、ルールが変更されたらすみやかに対応するのが賢明です。
実際にあったトラブルと注意点(避難経路・消防法など)
避難経路をふさぐことで「消防法違反」になるケースも
マンションの共用廊下は、非常時の「避難経路」としての役割を担っています。
火災や地震の際、すべての住人が速やかに避難できるよう、廊下は常に開放・安全な状態である必要があります。
消防法では、建物の避難通路や非常口に障害物を置くことを禁じており、違反すると消防署から是正命令が出されることもあります。
実際に、共用廊下に置かれた植木鉢が避難経路を狭めていたとして、消防から指導が入ったケースも全国で複数報告されています。
個人の美観や趣味が、全体の安全を損なう結果につながる可能性があることを忘れてはなりません。
植木鉢が倒れて通行人にケガをさせた事例
あるマンションでは、強風で植木鉢が倒れ、通行中の高齢者に当たりケガを負わせてしまったという事故が発生しました。
このケースでは、管理会社経由で被害者に謝罪と医療費の補償がなされ、問題の住人には管理組合から「今後一切共用部分に私物を置かないように」と厳重な注意があったといいます。
植木鉢は一見安定しているように見えても、プラスチック製であれば軽く、陶器製ならば割れやすく、事故につながる危険があります。
自分だけの問題では済まないことを十分理解したうえで、共用部分の管理を心がけるべきです。
「掃除当番が困っている」住民同士の摩擦も
管理会社や清掃スタッフの立場からすると、廊下に置かれた私物は掃除の妨げになります。
実際に「植木鉢をどかさないと掃除できない」「水漏れで床が汚れている」といったクレームが寄せられ、管理側から注意文書が回覧されたというケースもあります。
また、共用部に私物を置く行為は、「自分勝手」「ルール違反」として、他の住人からの印象も悪くなりがちです。
結果として、マンション内の人間関係やコミュニティの空気を悪化させる要因にもなりかねません。
特に高級マンションや管理が行き届いた物件ほど、ルール違反に対して厳しく、孤立を招く可能性がある点にも注意しましょう。
どうしても植物を置きたい人へ!合法的な代替案
ベランダ内で楽しむ「プライベートグリーン」が最適解
共用廊下に植木を置くことが原則NGであっても、「植物を楽しみたい」という気持ちまで否定されるわけではありません。
その場合、まず検討したいのが「専有部分であるベランダ内」で植物を育てる方法です。
ベランダは、構造上は共用部分とされるものの、使用に関しては専有部分のように扱われる「専用使用権付き共用部」とされています。
そのため、他人の迷惑にならない範囲であれば、鉢植えやプランターを設置しても基本的に問題はありません。
ただし、ここでも注意点はあります。
・物が落ちて階下に被害を出さないよう、柵に掛けるタイプは避ける
・水やりによる階下への水漏れに配慮する
・虫の発生や異臭を防ぐため、清潔な管理を心がける
このようなマナーを守れば、安全に植物を楽しむことができます。
室内グリーンで「癒やし」と「安全」を両立
もうひとつの有効な選択肢が、リビングや玄関内にグリーンを取り入れる「室内植物(インドアグリーン)」です。
特に最近は、LEDライトで育てられる観葉植物や、水耕栽培対応のプランター、インテリア性に優れたエアプランツなど、多彩な選択肢があります。
屋外よりも気温や湿度の変化に左右されにくく、管理がしやすいのもメリットです。
玄関にミニサイズの鉢を置くだけでも、植物のある暮らしは十分に楽しめます。
共用部分のトラブルを避けつつ、自分だけの癒やし空間を作りたい方にはおすすめです。
どうしても共用部に置きたい場合は「管理組合に相談」を
それでも「玄関前にだけは小さな鉢を置きたい」という方は、独断で行動する前に管理組合や管理会社に正式に相談することが大切です。
まれに、以下のような条件付きで認められるケースもあります。
・一定サイズ以下(30cm以内)
・緊急避難の妨げにならない位置
・景観を損ねない
・トラブルがあれば即時撤去
こうした合意形成がある場合は、例外的に設置が許可されることもあるため、どうしても希望がある場合は「相談→申請→承認」のプロセスを踏みましょう。
自己判断で進めるのではなく、正しい手続きとルールのもとで楽しむことが、トラブルを未然に防ぐ最善策です。
まとめ:ルールを守って植物のある暮らしを楽しもう
マンションの共用廊下に植木を置いてもいいのか?という疑問に対し、本記事では以下のポイントを明らかにしました。
・共用廊下は「共用部分」であり、原則として私物の設置は禁止されている
・分譲と賃貸で運用の仕組みは異なるが、どちらも「管理者のルール」が優先される
・管理規約には明確な禁止条項が盛り込まれていることが多い
・消防法や避難経路の確保、安全性の観点からもトラブルの元になりやすい
・それでも植物を楽しみたい場合は、ベランダや室内グリーンで代替する方法が有効
植木や緑が暮らしに潤いを与えてくれるのは確かですが、マンションという集合住宅においては「自分だけの快適さ」より「みんなの安心・安全」が優先されます。
ルールを守りつつ、できる範囲でグリーンのある暮らしを工夫して楽しむことが、スマートなマンションライフの第一歩です。
ぜひ、お住まいの管理規約を改めて確認し、安心できる環境の中で植物との時間を育んでください。